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お役立ちコラム

法人破産ができないケースとは?

2023/09/21(木)

法人破産を行うための要件

下記の要件を全て満たさなければ法人破産を行うことができません。

1形式的要件

破産申立の方式が適式であること
破産を申し立てるためには、裁判所に破産申立書を提出する必要があります。この申立書には、負債の詳細や会社の財産、財政状況などの情報を含める必要があります。この申立書に不備がある場合は、裁判所から不備の補正を命じられるため、不備を補正すれば、破産申立は可能となります。

申立権があること
以下の自然人・法人以外からの破産申立てはできません。

・債権者
・債務者
・準債務者(法人の理事・会社の取締役等)
・監督庁(一定の種類の法人の場合のみ)

債務者に破産能力があること
破産能力とは、権利義務の主体となり得るということです。もっとも、個人・法人ともに権利義務の主体となることができるのが原則ですから、こちらの要件が問題となり破産申立ができないということはほとんどありません。

手数料を納付したこと
裁判所に決められた手数料を納付することが必要です。

裁判所の管轄が正しいこと
原則として、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所に申立てをします(破産法5条1項)。通常は登記簿上の本店所在地です。

2実体的要件

支払不能または債務超過であること
支払不能とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」(破産法第2条第11項)のことです。また、債務超過とは、「債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態」をいいます。
法人が破産を申し立てるためには、まず破産の必要性があることを認める必要があります。これは通常、法人が負債の支払いができなくなったとき、またはその見込みがあるときに生じます。
会社の財政状況を正確に評価し、負債の額と流動性の状態を把握することが重要です。一般的に、会社の負債が資産を大幅に上回っている場合や、継続的な営業により負債がさらに増える可能性がある場合、破産の要件を満たすことになります。

破産障害事由がないこと
破産障害事由には、以下のものがあります。

・破産手続の費用の予納がないこと
・不当目的・不誠実な破産手続開始申立てがされたこと
・民事再生・会社更生・特別清算手続が開始されていること

これら破産障害事由があると、破産の申立ては却下されます。

法人破産ができないケース

返済が可能な状況

法人破産は、企業が負債を返済する能力を失った時にのみ実施できます。しかし、ある条件下では、企業が返済可能な状況であっても法人破産を申請することがあります。しかし、裁判所は借金の返済が可能であると判断した場合、破産手続きを認めないことがあります。負債があるが資産の売却、再編などによって返済可能な状況である場合、法人破産の申請は通常認められません。このような場合、企業は、会社清算等他の対策を考える必要があります。

破産手続きの費用が支払えない

法人破産手続きには費用が発生します。弁護士費用、裁判所の手数料、管財人に支払う報酬など、これらの経費は破産を申請する法人が負担する必要があります。財政的に厳しい状況であるために破産を申請したいと考えている企業が、破産手続きに必要な費用を支払うことができない場合、法人破産の手続きを開始することはできません。

不正な目的で破産を行おうとしている

・財産隠しのための倒産
破産を利用して財産を隠蔽または移転する行為は、法によって厳しく禁止されています。このようなケースでは、借金を返さないために、法人の財産を故意に隠したり、他人に移転したりして、その後に破産を申請することがあります。これは、債権者からの回収を妨害し、債務の返済を避ける行為であり、公正な財産管理と債権者保護を目的とする破産法に反します。また、このような行為は刑事罰の対象となる可能性があります。

・借金逃れのための倒産
破産を利用して借金返済を避ける行為も、不当な目的の倒産に該当します。法人が経営困難に直面し、借金の返済が難しい場合に、財政状況を誇張または誤って報告し、破産を申請することがあります。これは債務者の義務を逃れ、法的手続きを悪用する行為にあたり、破産は認められません。

・競合他社への損害を与えるための倒産
自社の破産を利用して競合他社に損害を与えるような破産も、不当な目的の倒産に該当します。例えば、自ら破産を申し立て、その混乱を利用して競争相手の事業に打撃を与える、または競争相手の信用を低下させることを目的とした破産は、不適切な行為とされます。破産法は借金の整理と公正な債権者保護のために存在するものであり、他社に不利益を与える目的で悪用することは許されません。

・不正な資金調達のための倒産
新たに借り入れた資金を不正に流用した後に破産を申請する行為も不当な目的の倒産に該当します。具体的には、法人が大量の借入を行い、その資金を個人的な利益のために使用したり、不適切な投資に流用したりし、その後に破産を申し立てるケースを指します。これらの行為は、債務者が債権者からの返済義務を逃れ、信用取引の公正な秩序を混乱させる可能性があります。また、これらの行為は詐欺に当たり、刑事罰の対象となる可能性があります。

破産以外の手続きが開始されているとき

法人破産以外にも、会社清算手続きや会社更生手続きなどいくつかの解決策があります。これらの手続きは、企業が再建を図るためのもので、債務者と債権者が協力して財務状況を改善することを目指します。

しかし、企業がこれらの手続きを既に開始している場合、同時に法人破産の申請をすることはできません。これは、それぞれの手続きが異なる目的とプロセスを持ち、それぞれが企業の資産と負債に異なる影響を与えるからです。したがって、企業が既に再生や更生の手続きを開始している場合、その手続きが終了するまで、法人破産の申請はできません。この状況では、企業は既に開始されている手続きを進めるか、またはその手続きを中止して破産を申請することを検討する必要があります。

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